IT戦略本部に意見書

IT戦略本部が「持ち回り」で開催されることになり、出席するかわりに次のような意見書を出しました。リアルには開催されず、ちょっと寂しい。
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平成23年7月11日

新たな情報通信技術戦略 工程表の改訂にあたって(意見)
國領二郎

 第55回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部会議開催にあたって、意見を申し上げます。

1. 情報連携基盤に広がりと利便性を与えるべく、制度設計に積極的にかかわっていくべきである
 現在、税と社会保障の一体改革の文脈で「番号」制度が議論され、その一貫として情報連携基盤のあり方が打ち出されている。プライバシーを守りながら情報連携を実現する基盤は税・社会保障だけでなく、自治体の住民サービスなど、行政サービス全体にかかわる重要なものである。また、民間にも接続を許し、たとえばマネーローンダリング防止の身元確認や、青少年保護のための年齢認証などに活用することによって、安全で利便性の高い情報社会を構築することも可能となる。情報連携基盤がそのような広がりを持つものとして発展するように、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部としても受け身とならずに制度設計段階で、積極的に関わりをもつべきである。
 意見を言うべき例をあげるならば、2011年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部から出された「社会保障・税番号大綱」には、セクトラルモデルを活用して、多様な組織の保有する情報を連携する可能性が示されているが、これを自治体や民間にとって、使いやすく利便性の高いものとしたい。そのために、たとえば①マイポータル運営の民間への開放、②マイポータルへアクセスする際の認証方式を政府が発行するICカードのみに限定せず、アクセスする情報の必要なセキュリティレベルによって多様なもの-民間が提供するものを含めて-を許容する、といった意見を出すべきである。この二つによって、たとえば(ア)国民がスマートフォンを使って民間(携帯電話会社など)が提供するマイポータルにアクセスして、自身の年金の払い込み状況を確認したり、(イ)被災者が地元の病院での自身への投薬履歴を呼び出して避難先の医師に見せたりする、といったことが可能となる。いずれも現在の大綱のまま法制化されると実現できなくなってしまう可能性が高く、利便性の低さから普及が進まないといった事態が想定される。
 上記を含む意見を出す際には、自治体や企業など、現場の意見を十分に聞きたいところである。制度設計的には小さいと思われる点が、システムコストや現場負荷の大幅増大をもたらすことが多いのが情報通信技術分野の特徴である。今回の番号制度では特に自治体の負荷が大きくなるものと思われ、十分な対話が必要である。

2. オープンガバメントのさらなる推進を
 福島原発事故は、情報開示のあり方を改めてクローズアップさせた。政府保有データの二次利用可能な形式での開示など、本部が推進してきた取り組みの範囲を広げ、よりシステマティックに推進すべきである。これは単に開かれた政府を実現するだけでなく、情報を国民や企業にとって利用しやすい「資源化」を行うことにつながり、活力ある情報社会への道を拓く取り組みともなる。

3. 世界潮流と主戦場に目を向けた戦略を
 いま、世界の情報通信技術は①世界をカバーするクラウドコンピュータネットワーク、②クラウド上で様々なサービスや権利処理、認証などを行うプラットフォーム、③利用者のモバイル端末の上で全てのメディアを統合しつつあるブラウザ-特にHTML5規格-などが競争力を分ける主戦場となっている。そして、情報を自社のプラットフォームに誘導して蓄積しようという「情報資源の囲い込み」ともいうべき競争が激烈となっている。残念ながら日本はそのいずれにおいても主導権を握るどころか、プレゼンスがほとんど見えない状態になっている。
 情報通信技術戦略はそのようなメガトレンドの中で、日本のシステムをどのように進化させていくか、日本の情報産業を主戦場で主導権を握れるプレーヤーとさせるために、どのように復活させていくかを示す骨太なものとして必要なら見直し、進捗管理すべきでないか。

以上

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次に向けての考え方(仮説)

仮説:機能・リスク分散が重要。東京に機能集中しすぎていて危ない(この際、道州制を入れるべき?)。危険なシステムを集中させ過ぎると何かあると大事故になりやすい。

仮説:情報の信頼性モデルの変化に注意。「一元的公式情報」の時代は過ぎ、多元的情報の相互チェックによって信頼性を確保する時代になっている。

仮説:外からの応援を受けやすいオープンシステム(ハード・ソフトだけでなく組織なども)が重要。受けにくいシステムは想定外の状況でもろい。

仮説:絶対安全は存在しない。リスクの所在を常に多くの目で確かめ、顕在化時の対応を考えておくことが安全への道。

仮説:ガバナンス改革が重要。民も官も責任と権限のはっきりさせない組織風土のままでは、対応が遅れるばかり。リーダーにしっかり権限を与えてなすべきことをなせるようにしてから、きっちり結果責任を問おう。

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NTTの歴史的敗北

光の道に関する報告書が提出され基本方針が了承された。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000094716.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/global_ict/38282.html

どうやら、ここまでで、私はタスクフォースお役ご免のようなので、失礼して自由にコメントさせていただきたい。

世間ではこの報告がソフトバンクの敗北で、NTTの勝利であるように受け止めている向きが多いように思う。しかし私は、これはNTTの歴史的惨敗だと思う。ソフトバンクが勝利したともいえないので、勝ったのは統制経済が好きな人々なのだろう。

注目すべきは、次の三点である
(1)ファイヤウォール強化を「アクセス網及びこれと一体的に設置される中継網」を対象としたこと。
(2)ユニバーサルサービス対象を(ブロードバンドではなく)「光IP電話」としていること
(3)八分岐単位のアンバンドルを事実上要求していること。

NTTにとって「歴史的」惨敗という表現をさせていただいたのは、今まで不可欠設備としての規制対象になっていなかったIP中継網が今後、「アクセス網及びそれと一体として設置される」ものについては不可欠設備として規制対象となるとされているからだ。しかも、その具体化として、「ファイアウォール措置としては、ボトルネック設備保有部門と同利用部門との間での物理的な隔絶、情報管理システム上のアクセス制限等による厳格な情報遮断措置その他適正な競争関係を確保するための体制の整備や実効的な監視の仕組みを検討する」とされている。

このくだり、実は、11月30日に筆者も出席した会議に出た原案では、「これと一体的に設置される中継網」という表現が抜けていて単に「アクセス網+中継網」となっていた。つまり、(競争状態にあるものを含めた)NTTが保有する全ての中継網が規制対象になりそうだった。さすがにそれはやりすぎだと思って発言し、「アクセス網及びそれと一体として設置される中継網」と限定していただいた。しかし、それでもこの規制は極めて強いもので、具体化の在り方として「物理的隔絶」をうたっているということは、今後NGNサービスはインターネットサービスと物理的に隔絶させて提供しなければならないということになる(さすがにそれは無茶なので、今後緩めていくことになるのだろうと思うが)。

ユニバーサルサービスについて「光IP電話」を対象とし、このサービスを持ってメタル電話を撤去してよいとしていることも、奥深い。これは、電話料金の値上げを受け入れるとは考えにくい利用者のことを考えると、光ファイバによる電話サービスを現在の電話サービスの基本料金(NTT東の場合、住宅用1450円から)で提供することを意味している。そして論理的に考えると、光IP電話に使っている設備の光ファイバアンバンドルは当然1450円以内で行われることを想起させる。つまり、ソフトバンクの主張する1400円での光ファイバ提供を事実上やれ、といっているのに近い。これをやるとすると、分岐単位でやるしかない。

さらに深読み(しすぎかもしれないが)して、光IP電話の網イコールNGNと理解すると、それをインターネット網から隔絶させ、基本料金1400円程度で提供しろというのは、つまりNGNを光PSTN網としてのみ存続させろ、といっているに近いように思う。

報告書全体の精神は、競争を通じた光の道実現を求めているので、競争原理を重視しているともいえるのだが、このくだりに限って言えば、極めて統制色強いものとなっている。ちょっと極端な言い方をすると、網を国家管理下におくような話に近い。

NGNを光アクセスと一体的なものとして開発してしまったNTTの自業自得とも言えるのだが、NTTに(民間企業としては)死ねと言っているのに近いと思う。このまま実施されてしまうくらいなら、資本分離をして自由を獲得したほうが、NTT株主にとってかえって良いとも思う。

さすがに今後の具体化の中で配慮がなされることと思うが、注意深く見守っていきたい。この国の自由経済を殺してしまわないようにするためにも。

(平成12年12月14日に書いたものを15日に微訂正)

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光の道(NTT経営形態)決着は資本市場で

いろいろな方から私の考え方を聞かれるので、先日ICTタスクフォース合同部会に提出した意見書を次にアップロードしました。


「ict20101122.pdf」をダウンロード

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民主党IT戦略議連

民主党のIT戦略議連に呼んでいただいて、1時間弱お話をする機会をいただきました。短時間で話すために、思いを圧縮した「デジタル成長戦略」2ページ資料を作りました。共有させていただきます。
「digitalgrowth.pdf」をダウンロード
加えて、多くの方のお力を大量にいただいた、昨年度の重点点検専門調査会の資料 (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/juuten/dai3/siryou1-2.pdfの中から資料4を抜粋したもの)と、アクセンチュアさんが昨年作って下さった資料を持ってまいりました。我ながらだんだん話すスピードが速くなっていくのを感じる、大忙しのプレゼンになってしまいましたが、質問もたくさんいただけて、関心の高さがうかがえて嬉しく思いました。ご協力いただけたみなさまに心からお礼申し上げます。

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光の道の整備のしかた

 国営会社による光ファイバ整備に反対すると書いたら、いろいろな方に「ではどのように整備するのか?」とおたずねいただいた。確かに反対するからには代案を提供しないといけない。まずはざっとスケッチしてみたい。

(1)基本ポリシー
 日本の全ての場所に2系統のブロードバンドアクセスを用意する。2系統とするのは、災害時などを考えるとバックアップが必要だからだ。

(2)徹底した「相乗り」の推進
 ここがポイントなのだが、上述の2系統のアクセスについて徹底的した相乗りを推進することが重要だと思う。「ブロードバンドがない」と言っている過疎地に行ってみたら、実際は河川管理や行政用や電力用の光ファイバが敷設されている場合が多い。日本の中に光ファイバが実際に全くない村を探す方が難しいのではないかと思っている。これからは放送用にひかれている場合も多くなるだろう。
 ところが、それらが制度的な壁に阻まれて、民間のインターネット用には使えなかったりする。本来の目的で満杯なのなら仕方がないが、実際には、光ファイバが束でケーブルに収容されている中で、何本も芯線が未利用で余っていたりする。セキュリティが理由になっている場合も多いが、技術的な根拠がない場合が多い。
 この国には地デジ、電力管理、行政、防災、インターネットそれぞれのために、それぞれの事業体が光ファイバを過疎地に敷設して回るような余裕はもうないはずだ。それなのに、現実には、縦割り組織と縦割り制度のせいでそれがおこっており、無駄以外の何物でもない。その是正をして、敷いた光ファイバ徹底的に多用途利用することを徹底するだけで、採算性が向上して、民間による問題解決も進展するはずだ。

(3)公設民営モデルなどの活用
 それでもなお、ない場所について、公費が投入されたり、ユニバーサルファンドを活用することはあってもいいと思う。上述の河川管理用のファイバの民間活用なども、公設民営の例ともいえる。

(4)NTTをめぐって
 問題は「光」ユニバーサルファンドや公設民営モデルをNTTが活用する場合だろう。公費によってNTT独占度が高まるという批判がある中で、分割論が出てくるのだろうと思う。オープン化、レイヤ化を長年主張してきた國領として、構造分離を必ずしも否定しない。積年のうらみから、政治の力を使ってそれを実現してしまいたいと思う競争事業者の気持ちも分からないではない。ただし、上場会社を国家権力の強制で構造分離するのは、独禁法違反などが司法の手によって明らかにされた場合に限らないと、この国の資本主義はめちゃくちゃなことになる。それよりは、NTT自らの手で、物理層の保有と管理を行う「NTTインフラ会社」とネットワーク設備の保有と運営を行う「NTTネットワーク会社」に再編していただき、公設光ファイバの保守管理の委託「競争入札」にあたっても、物理層とネットワーク層で別々に応札していただくようなイメージをおいかけたい。

ちょっと舌足らずな記事かもしれないが、本日はとりあえずここまで。

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NTTは自ら再々編提案したらいかがでしょう

NTTはどうせなら、自らの手で再々編を提案してみたらどうだろうか?今の縦割り構造をやめて、伝送設備会社とサービス会社に分けた上で、地域(東西)や物理層(有線・無線)別の垣根を取っ払う。その方がビジネス戦略としてもすっきりして、ダイナミックな事業展開ができると思う。バックボーン統合なども進めやすいだろう。複雑なグループ内取引も減って管理コストも下がるのではないだろうか?

自らの手で、と呼びかけさせていただくのは、民営化した会社の組織構造や経営戦略に、政府に年がら年中介入されるのはとても不健全なことだからだ。アクセス回線などの不可欠設備があって、どうしても問題が解決しない場合に介入があるのはいたしかたないのだが、それを大義名分にしてビジネスの問題に行政や政治にごちゃごちゃ影響力を行使されては、経営にならない。NTTから経営マインドがなくなるのは長期的に国民の利益にもならない。

アマゾンやアップルなどが、通信もバンドルしたサービスを提供していることを例にあげて、時代は垂直統合に変化したのでレイヤ論は古いという議論もある。確かに単一レイヤで勝負するよりも、複数のレイヤ(特にサーバーと端末)を組み合わせてビジネスモデルを構築した方が利益が出るように見える。しかし、ビジネスモデルとして組み合わせていることと、制度的にレイヤが分離されていることは、混同しないほうがいい。アマゾンも直接世界中に3Gネットワークを持っているわけではなく、むしろ、水平分離されたサービスを活用することで、世界中に自社のサービスへのアクセスを確保している。つまりアマゾンのビジネスモデルもレイヤ化があったから実現したのだ。

NTTの方からは「土管化」してしまうとつまらないビジネスになるので避けたいという議論も良く聞く。しかし、そんな自らを貶めるようなことは言わないほうがいいと思う。通信は、嵐の日も、雪の日も、夏にはクマゼミと戦いながら設備を守っている人たちの地道な努力によって支えられている。そして「信頼性高くつながること」の付加価値は非常に大きい。「信頼」に消費者がプレミアムを払うのは、ドコモがいまだにシェアトップを維持していることが証明しているように思う。伝送設備会社は、他の伝送設備を提供する会社と競争しつつ、正々堂々と自社の付加価値に見合う料金を、NTTサービス会社からも、他の通信事業者からもいただけばいい。

構造分離(伝送設備会社とサービス会社の資本関係を断つ)か、会計分離(同一資本下の別会社化)か、というところで、賛否のポジションが変わる方も多いのだろうと思う。NTT社内には会計分離を呑むと勢いが止まらずに構造分離に議論が行ってしまうので、会計分離を議論をすることもタブーだと思っている方が多いのではないかと思う。確かに、構造分離してしまうと、グループ内で合理化が進んだ部門から、成長セグメントに配置転換して労務問題を和らげるという手段が使えなくなってしまって、合理化も止まるので、構造分離は避けたいはずだ。社会的に見てもNTTが技術の発展に対応して人員配置転換してくれることはいいことだ。だからこそ、構造分離論が外で盛んになって、押し付けられる前に、NTTが自らの提案でグループ内再々編するという形で、整理するのがいいのではないだろうか?そうしてしまえば、介入したい人も滅多には手が出せなくなる。

この記事も外野の意見(介入?余計なお世話?)なので、ぜひ社内で考えていただけたらと思う。

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リテラシー

国内外のメディアが一斉に北朝鮮のミサイル?(衛星?)が発射が近くある可能性が高いことを伝えている。今夜はCNNが燃料注入を伝えたことを、他のメディアが紹介する展開になっている。(再度確認したらぼやけた表現で、まだはっきりしていないようだが)

安全保障はまるっきりの素人なので余計なことを書いてはいけないと思いますが、職業柄こんな時に心配になるのはネット上の情報の流れです。特に、デマがデマを呼んで感情がエスカレートしていくような状態が生まれないようにしたい。自然発生的なデマに加えて、当然のようにいろんな操作の試み(このブログ記事もその一種かな)が入ると思います。根拠のない情報に踊らされないように、ソースの明らかでない情報は簡単に信じないようにしたいものです。マスメディアから引用された情報も、元記事が伝聞として紹介されているものは、すぐには信じないくらいの態度で臨みたい。国民のメディアリテラシーが問われる局面だと思います。

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一般薬の通信販売のことで、自民党に行ってきました

 自民党の「医薬品のネット販売に関する議員連盟」から意見を聞きたいとご依頼を頂戴し、3月18日に行ってまいりました。議会の日程が込んでいる時間帯にあたったとのことで、あまり多くの先生方にいらしていただけなかったのですが、とりあえず頑張って思うところを伝えてきました。ここにその際に使った資料があります。「20090318.pdf」をダウンロード
 実は、時間の多くが、省令で規制するのが合憲か違憲かという、手続き論に費やされてしまって、安全性を高める議論の時間が食われてしまったのが少し残念でした。この議論に対するスタンスによって、親規制改革会議か、反規制改革会議かが決まるということらしく、そのようなことを考えもせず出かけていった自分の政治センスのなさに、反省しきりでした。この点について私は、法学者ではないので判断もできず、自分の論点からは憲法論は抜いておりましたし、「親か反か」と問われてもどちらでもないので、その場では意見も何も言わないでおりました。ただ、素人としての素朴な感想としては、合憲か違憲かはどうあれ、これほど国民生活に大きく影響する決定を、省令=官僚に委ねるのは無理で、国会で決めていただいて、その妥当性について国民が選挙で審判する、という手順がいいように思います。(そう思って、自民党の召集にもお応えした次第です。)
 より大切な薬の安全性の面では、ネットでは年齢確認ができない(から、未成年を守れない)のでは、という質問をいただきました。この点については、一方で、ネット販売が、薬の未成年者の一般薬の安全な使用(あるいは不使用)を促す手段として、他の販売手段と比べて格段に劣るとは思いません。どんな販売手段を使っても、買った人とは別人が飲むことは大いにありえて、最終的な安全の担保方法としては、薬のリスクの伝達を実際に使う人にしっかりすることしかないからです。(それが新薬事法の基本認識だと理解し、共感しています)。そして薬のリスクを販売時やそのほかのチャンスに若年層に伝える手段として、ネットはむしろ優れていると思います。
 ただ、他方で質問された先生が、このようなご質問をされたくなる気持になった背景にも注意が必要です。おかしな服薬をあおるような情報がネットにあふれていて、未成年に影響を与えていることも事実だと思います。危険な服薬をあおるような情報を監視して是正を促す活動などについて、ネットを利用する全ての人が努力を強めないといけないのだろうと思います。その上で、合法的な事業者によるリスクコミュニケーションの機会をつぶして、脱法業者と危ない情報ばかりが跋扈するネットにしてしまうことの危険を改めて提起したいと思います。
 頭に血が上りがちの話題なのですが、本質を見失ってはいけないと思います。この大騒ぎが、結果としてネットを通じて国民が薬に関する正しい知識を獲得し、判断できるようにする、より有効なリスクコミュニケーションの手段として発展させることにつながると嬉しいと思っています。

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POSからPOUへ

 3月12日の日経さんの「やさしい経済学」にPOS(point of sales)からPOU(point of use)の時代へ、という話を書いたら、おかげさまでいろいろ反響をいただきました。

 データキャプチャの技術や、時空間情報技術の発達によって、商品の「販売時点情報」ならぬ「使用時点情報」がとれるようになるというメッセージです。かつて、POSが販売データを卸の出荷ポイントから、小売のキャッシュレジに移したことで、マーケティングのあり方に大変革を与えたのと同じか、それ以上のインパクトを持つように思います。たとえば株価情報などを記載した「日経会社情報」のような書籍を考えても、POSの時代は、本がいつ売れたか、くらいしか分からなかったのですが、携帯電話からデータベースをアクセスして調べていただく時代になって、誰が、どの会社の情報を、いつ、どこで調べたかがリアルタイムで分かるようになる。それは限りなく、その情報が実際使われる(たとえば株の売買発注をする)タイミングに近いはずです。プライバシー問題があるので、実際の利用は匿名化した情報しかできないにしても、POUの時代になって、得られるマーケティングデータの質も量も桁違いに大きくなってくる。

 経営学的にも、結構奥深いのじゃないかと思っていて、たとえば、この10年くらい、ずっと、「サプライチェーン」対「デマンドチェーン」などと言ってた対立軸が、消えちゃうのではないかと思っています。なぜなら、二つが対立しているように見えていたのは、サプライチェーンの方の終点が店頭で、デマンドチェーンの出発点である消費者の手元とかい離していたからだと思うからです。そのギャップがサプライサイドの論理と消費サイドの論理のミスマッチにつながっていた。その深い谷が、POUによって埋められるかもしれない...このことがもつ意味を分析するだけで、経営学者が次の10年ご飯を食べられるような気がします。

 概念的に興味をもっていただいた方に、「誰が言い出したのか?参考文献は?」というご質問をいただくのですが、商品の説明などの文脈では見られるものの、経営の概念として、打ち出されている方は見たことがなくて、とりあえずオリジナルだと思っております。なので、参考文献もなくて、ごめんなさい。

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