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一般薬の通信販売のことで、自民党に行ってきました

 自民党の「医薬品のネット販売に関する議員連盟」から意見を聞きたいとご依頼を頂戴し、3月18日に行ってまいりました。議会の日程が込んでいる時間帯にあたったとのことで、あまり多くの先生方にいらしていただけなかったのですが、とりあえず頑張って思うところを伝えてきました。ここにその際に使った資料があります。「20090318.pdf」をダウンロード
 実は、時間の多くが、省令で規制するのが合憲か違憲かという、手続き論に費やされてしまって、安全性を高める議論の時間が食われてしまったのが少し残念でした。この議論に対するスタンスによって、親規制改革会議か、反規制改革会議かが決まるということらしく、そのようなことを考えもせず出かけていった自分の政治センスのなさに、反省しきりでした。この点について私は、法学者ではないので判断もできず、自分の論点からは憲法論は抜いておりましたし、「親か反か」と問われてもどちらでもないので、その場では意見も何も言わないでおりました。ただ、素人としての素朴な感想としては、合憲か違憲かはどうあれ、これほど国民生活に大きく影響する決定を、省令=官僚に委ねるのは無理で、国会で決めていただいて、その妥当性について国民が選挙で審判する、という手順がいいように思います。(そう思って、自民党の召集にもお応えした次第です。)
 より大切な薬の安全性の面では、ネットでは年齢確認ができない(から、未成年を守れない)のでは、という質問をいただきました。この点については、一方で、ネット販売が、薬の未成年者の一般薬の安全な使用(あるいは不使用)を促す手段として、他の販売手段と比べて格段に劣るとは思いません。どんな販売手段を使っても、買った人とは別人が飲むことは大いにありえて、最終的な安全の担保方法としては、薬のリスクの伝達を実際に使う人にしっかりすることしかないからです。(それが新薬事法の基本認識だと理解し、共感しています)。そして薬のリスクを販売時やそのほかのチャンスに若年層に伝える手段として、ネットはむしろ優れていると思います。
 ただ、他方で質問された先生が、このようなご質問をされたくなる気持になった背景にも注意が必要です。おかしな服薬をあおるような情報がネットにあふれていて、未成年に影響を与えていることも事実だと思います。危険な服薬をあおるような情報を監視して是正を促す活動などについて、ネットを利用する全ての人が努力を強めないといけないのだろうと思います。その上で、合法的な事業者によるリスクコミュニケーションの機会をつぶして、脱法業者と危ない情報ばかりが跋扈するネットにしてしまうことの危険を改めて提起したいと思います。
 頭に血が上りがちの話題なのですが、本質を見失ってはいけないと思います。この大騒ぎが、結果としてネットを通じて国民が薬に関する正しい知識を獲得し、判断できるようにする、より有効なリスクコミュニケーションの手段として発展させることにつながると嬉しいと思っています。

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POSからPOUへ

 3月12日の日経さんの「やさしい経済学」にPOS(point of sales)からPOU(point of use)の時代へ、という話を書いたら、おかげさまでいろいろ反響をいただきました。

 データキャプチャの技術や、時空間情報技術の発達によって、商品の「販売時点情報」ならぬ「使用時点情報」がとれるようになるというメッセージです。かつて、POSが販売データを卸の出荷ポイントから、小売のキャッシュレジに移したことで、マーケティングのあり方に大変革を与えたのと同じか、それ以上のインパクトを持つように思います。たとえば株価情報などを記載した「日経会社情報」のような書籍を考えても、POSの時代は、本がいつ売れたか、くらいしか分からなかったのですが、携帯電話からデータベースをアクセスして調べていただく時代になって、誰が、どの会社の情報を、いつ、どこで調べたかがリアルタイムで分かるようになる。それは限りなく、その情報が実際使われる(たとえば株の売買発注をする)タイミングに近いはずです。プライバシー問題があるので、実際の利用は匿名化した情報しかできないにしても、POUの時代になって、得られるマーケティングデータの質も量も桁違いに大きくなってくる。

 経営学的にも、結構奥深いのじゃないかと思っていて、たとえば、この10年くらい、ずっと、「サプライチェーン」対「デマンドチェーン」などと言ってた対立軸が、消えちゃうのではないかと思っています。なぜなら、二つが対立しているように見えていたのは、サプライチェーンの方の終点が店頭で、デマンドチェーンの出発点である消費者の手元とかい離していたからだと思うからです。そのギャップがサプライサイドの論理と消費サイドの論理のミスマッチにつながっていた。その深い谷が、POUによって埋められるかもしれない...このことがもつ意味を分析するだけで、経営学者が次の10年ご飯を食べられるような気がします。

 概念的に興味をもっていただいた方に、「誰が言い出したのか?参考文献は?」というご質問をいただくのですが、商品の説明などの文脈では見られるものの、経営の概念として、打ち出されている方は見たことがなくて、とりあえずオリジナルだと思っております。なので、参考文献もなくて、ごめんなさい。

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