Toward a World in which Humans, Nature, and Machines Live Happily Together

Toward a World in which Humans, Nature, and Machines Live Happily Together

Jiro Kokuryo, Keio University

 

I think my role today is to provide alternative thinking from the east. In that spirit, a suggestion I would like to make today is that perhaps we should aim at building an ecosystem in which humans, nature and machines live happily together, instead of trying to build a world in which humans unilaterally control machines and/or the nature.

 

Actually, this has been the thinking in 2016 behind naming a Japan Technology Agency's program on AI ethics "Human Information Technology Ecosystem" to which I have been serving as the program supervisor. The message is that society and technology should co-evolve convivially. In other words, social institutions, including ethical standards, should be allowed to evolve as technology advances.

 

This is not to say that technology should be left alone to evolve without consideration to ethical issues. To be precise, the Japanese government's official policy follows the European lead in support of "human centric" approach to ensure that the technology will be used to uphold human dignity. While the Japanese attitude so far has been adopting a soft-law approach relying on guidelines to ask the industry to voluntarily comply, its thinking has firmly been on the protection of human rights. 

 

Risk-based approach is also agreeable. In fact, one of the key goals of the Human Information Technology Ecosystem program has been to develop better risk assessment capabilities to identify potential risks and give prompt feedback to engineers.

 

If there is a difference, it probably exists in the animistic tradition of Japan that leads us to accept personas even in machines. Reflective of such sentiments, characterizations of robots in Japanese animation have largely been "friendly," particularly with children. Animism considers humans merely as a part of the cosmos, rather than being at the center or on top of it. 

 

Such a world view, I would like to argue, is useful in a world of increasing complexity. By complex world I mean a world in which various elements are networked and influence each other to make the behavior of the global system increasingly unpredictable. I think that was what Toby was talking about. In such a world, it is impossible to be in complete control. Animism humbly accepts such a vulnerable reality of humans and respects the nature we live in and not be arrogant to think we can control it. This can be contrasted to the process control philosophies of the modern factory that controls the environment to recreate phenomena exactly as intended and theorized. Even before AI, digital networks have been ushering machines to post-modernize and be part of the complex system of the cosmos.

 

As a conclusion, I guess I am preaching for resilience instead of control. Such an attitude requires constant monitoring of emerging risks and the willingness to adapt to the environment, as opposed to controlling it. 

 

Script of a Talk Delivered at APRU-Heinrich Böll Foundation Forum on May 5, 2022

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認証基盤のオープン化が移動通信事業のスケーラブル化に与える影響の分析

次は最近、私のところで博士をとった梅嶋真樹君の博士論文審査要旨です。いずれ大学のサイトで公開されるものですが、地域におけるインフラ整備のあり方や、通信産業の競争政策に大きな意味があるように思うので、先行して、ここで開示いたします。ご一読いただけたら幸いです。

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梅嶋真樹君論文審査の要旨及び担当者


タイトル:認証基盤のオープン化が移動通信事業のスケーラブル化に与える影響の分析

主 査 政策・メディア研究科委員 兼 総合政策学部教授 國領 二郎
副 査 慶應義塾大学 名誉教授 小檜山 賢二
副 査 政策・メディア研究科委員 兼 環境情報学部教授 村井 純
副 査 政策・メディア研究科委員 兼 環境情報学部教授 中村 修
副 査 政策・メディア研究科委員 兼 総合政策学部教授 飯盛 義徳

 梅嶋真樹君の学位請求論文は「認証基盤のオープン化が移動通信事業のスケーラブル化に与える影響の分析」と題し七章より構成される。

 総務省は2008年に地域が(大手通信事業者に依存することなく)自律的に広帯域移動無線アクセス(Broadband Wireless Access以下BWAと略す)を整備できるようにすることを目的として、地域BWA無線免許制度を創設した。同政策は人口カバー率というキャリアの整備目標では切り捨てられてしまいかねない、過疎地域のインフラストラクチャ整備に道を開くものとなっている。本研究はその制度を活用した地域インフラストラクチャ整備に主体的に参加しつつ、BWA事業のスケーラブル化の要件を検証したものである。なお、本論文における、移動通信事業のスケーラブル化とは、「技術的にも経済的にも自律した小規模移動通信事業の相互接続による広域運用」可能化を意味している。
 より具体的な研究手順としては、理論及び先行してスケーラブル化が実現していたWi-Fi整備 の分析を通じて、スケーラブル化の要件として、(1)インターフェースのオープン化、(2)接続不保証(ベストエフォート)な通信品質、(3)認証基盤のオープン化、(4)低コストの相互接続ネットワークの存在、という四つを抽出し、その四条件を満たす地域BWA事業を沖縄県伊江村と、愛媛県愛南町において設計・運用しスケーラブル化が再現されるかを検証している。結果として、2016年12月時点で四条件が達成され、自律的な運営が可能な状態が作られたことで、スケーラブル化が達成されたと評価できる状態が作られた。
 ところが、本研究を推進している間に発生した相次ぐテロを背景に、世界的にセキュリティへの関心が高まって、利用していたWiMAXの後継技術に、大手事業者の加入者認証設備に依存せざるをえないオープン性の失われた標準が採用された。結果として新技術が普及するにつれてスケーラブル化が後退する現象に直面してしまった。図らずも、通信サービスを行う上で必須の資源が独占、あるいは寡占から開放されていることを競争成立要件とする本研究が依拠した(産業組織論をベースとする)エッセンシャル・ファシリティ論の的確さを示すことになった。セキュリティ方式の選択によって加入者認証設備という新しいエッセンシャル・ファシリティを生み出すことがあるという、新しい発見をもたらしたということもできる研究となっている。

 本論文の各章の内容は以下のとおりである。
 第一章では、地域の自律的なBWAインフラストラクチャ整備を促す政策の説明と、それが理論的にはスケーラブル化の実現を意味していることの説明が行われている。
 第二章では、電気通信事業における競争政策の歴史の中で練られてきた、情報通信産業における競争可能性の理論研究の紹介が行われ、エッセンシャル・ファシリティ論とスケーラブル化との関係や、システム論をベースとする、自律分散協調モデルとスケーラブル化の関係について理論的な整理が行われている。
 第三章では、第二章で検討した理論を踏まえつつ、一足先にエリアカバレッジが狭いという短所を持ちながらもいち早くスケーラブル化を実現したと考えられるWi-Fiを題材に、情報通信インフラストラクチャのスケーラブル化の技術および事業設計上の要件の洗い出しを行っている。
 第四章ではWi-Fiでの検討を踏まえて、スケーラブル化されたBWAを実現するための、要件を特定している。すなわち上記の、(1)インターフェースのオープン化、(2)接続不保証(ベストエフォート)な通信品質、(3)認証基盤のオープン化、(4)低コストの相互接続ネットワークの存在、の四つである。これが実践活動の指針ともなり、研究上の仮説ともなった。
 第五章では、四つの要件をいかなる技術と事業設計で、実際のBWA事業に組み込んだかが解説されている。これはBWAのスケーラブル化が空想ではなく、実現可能であることを示す役割を果たしている。
 第六章では、開発した技術体系にもとづいて、沖縄県伊江村と愛媛県愛南町で実際に展開した模様とその結果を記述している。実際のシステムの技術的運用可能性や経済性はそれぞれの現場の気候等の地理的条件、そして自治体の経済状況などによって左右されるが、結果としていずれの地域においても、スケーラブル化されたBWA事業がいったんは成立したという結果を得た。なお、成立したという評価の基準としては、(1)外部接続以外については外部資源に依存しない運営が可能となる自律的な技術を実際に動かした、(2)利用者が汎用的なデバイスで利用することを可能とした、(3)年額100万円程度の収入で事業継続が可能であることを実証した、(4)小規模BWA事業の相互接続による広域運用を実証した、という四つの基準が適用されたことが報告されている。
 本章ではさらに、一旦、達成されたスケーラブル化が、認証基盤のオープン性が失われることで損なわれてしまった事実の報告がなされている。すなわち、本実証研究において採用したWiMAX技術の後継技術(WiMAX2)が、大手事業者の加入者認証設備とそれに紐づけられたSIM(Subscriber Identity Module)カードの配布を必要とする標準として採用したために、新技術の採用が進むにつれて地域事業者の自律的運営が技術的、経済的に困難になってしまった。理論による予測が見事に再現されたともいえるが、事業としては先が見通せない結果となった。
 第七章においては、研究開始時点では想定していなかった、セキュリティが新しいエッセンシャル・ファシリティを生み出して、地域の主体性に基づく自律的なBWAインフラストラクチャ整備を阻害する現象を中心に、本研究の含意について検討している。実際にスケーラブル化が損なわれてしまった現実を受け入れた上で、梅嶋君はセキュリティへの要請が、必ずスケーラブル化を壊すものでしかありえないのかを問うている。そしてハードウエアSIMと高価な加入者認証システムという組み合わせが、セキュリティを実現するために唯一の方式ではなく、他のスケーラブル化を損なわない方式がありえて、世界的にはその普及の機運があることを示している。そのような方式が、BWA事業に再度スケーラブル化をもたらしうるかについては、今後の展開を見守ることとなる。
付言するならば、恐らく梅嶋君は単に見守るだけでなく、今後もそれを証明する実践的研究を行うこととなると思われる。それは何より、地域が国や大手キャリアの方針に縛られることなく、自律的にインフラストラクチャを整備できる状態を作るという、もともとの政策や、それに共鳴して行動を起こした同君の理念を諦めずに実現する研究となる。

 本研究は、社会にとって重要なテーマについて、確固たる理論的な基盤のもとに、問題解決の視点と方法を提示し、それを単に観察だけではなく、実践を通じて検証を行っていく、実践知を重視する総合政策学の理想を体現するものとなっている。最終的な理念の実現という観点からは、道半ばともいえるが、ここまでの研究から得られた理論的、実証的な結論は今後の政策や事業設計に大きな意味を持つものとなっており、このタイミングでの博士号授与に相応しいものとなっている。特に、セキュリティを実現するシステム設計いかんによって、新しいボトルネック独占・寡占が生まれる認識を得たことは、情報通信業界の産業構造論に新しい断面を加えたものだと評価できる。

 このように、本研究は著者本人だけでなく、総合政策学研究に新たな発展の可能性を与えたものと評価できる。よって、本論文は著者が研究者として自立した研究活動を遂行するために必要な研究能力と学識を有することを示したものといえ、本学位審査委員会は梅嶋真樹君が博士(政策・メディア)の学位を授与される資格があるものと認める。


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経団連規制改革推進部会

経団連行政改革推進委員会の規制改革推進部会で話をしてきた時のレジュメを共有させていただきます。「keidanren.pdf」をダウンロード

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ITによる資産収益率の向上

旅館業法のことなどが、別所さんの記事がきっかけで話題になっていて、私も思うところあります。そこで、平成26年6月13日に自民党の情報産業振興議連で話をさせていただいた時のレジュメを皆様にもご覧いただきたくアップします。

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今後のICTの動向~2020年、そしてその向こうへ~

1. 2020年をターゲットとして、日本に世界に誇れるICT利活用社会を作る。但し、それは「2020年後の世界」に対する解決を指し示すものにしなければならない。ICTの力で安心して暮らせて、活力もある長寿社会の姿を見せたい

2. ICTを成長に結びつけるために、新しいビジネスモデルを認知し、育てるべきである
・カーシェアなどに象徴される、(消費者が)所有せず利用するビジネスモデルが拡大する。産業側から見ればサービス産業
・背後にあるのが、全てのヒト、モノをつなぐネット。あるモノを何時、何処で、誰が、使っているかが把握できる。これによって、19世紀に大量生産大量販売経済が始まって以来の「匿名の消費者に対してモノの所有権(全面的支配権)を移転させて、対価として現金を受け取る」売り切りモデルから解放される。かわりに、モノの利便を、必要な時にだけ貸し出すライセンスモデルの合理性が高まる
・大局的に言えば、資産活用(資産収益率の拡大)がゴールとなる。持てる資産を多重活用して収益率を上げる。収益率の拡大がひいては投資の拡大につながるシナリオ。収益率が低い中で資本コストを下げることで投資を促す金融的手法にいつまでも頼るわけにいかない
・ヒト(人的資産)の活用も進めたい。人手不足の中で、子育て中の女性の在宅勤務などを進めたい。
・個人が持っている不動産をネットで貸し出すなどのサービスも活用したい。オリンピックの一時的宿泊需要を既存ホテルの更新に利用するのは良いが、中長期的に見込める需要以上にキャパを増大させると後からショックが来る。一時的超過需要はネットを活用した新しいホームステイモデルなどで満たしたいのでは?
・必要な規制改革を進めたい。対面原則など「外形」での規制をやめ、必要な要件でルールづくりを。「伝達すべきは伝達せよ」という規制なら生産的な話が始まる。「対面でなくてはダメ」という規制では非生産的な議論が続く

3. ゴールに向けて、安全と自由との矛盾を克服して、迷いなく情報化に邁進できるようにしたいし、できる
・基本はアクセスする個人を識別し「守られるべき人は守り、自己責任で自由に使いたい人は自由に使える」ネットの構築。識別子に対して属性を返す(例えばIDxxxの人は確かに18才以上であることを示す)基盤が必要。法律などで国による確認を求めるサービスに対しては国の責任でオンライン提供する

4. 成長戦略としても、安全保障政策としても世界を見据えたものとしたい
・つながる人が増えるほど価値が増大するネットワーク経済の中で、市場は確実にグローバル化する。ガラパゴスサービスは生き残れない
・オリンピックなどでも、世界の成長力を日本に呼び込む政策をとるべき。たとえば、アジアに育ちつつあるベンチャーにオリンピックの場で世界マーケットに出る道を作りたい。シリコンバレーにはない、インフラ連動型のサービスを試す機会を提供するなど
・インターネットのガバナンス問題などで、国家コントロールを主張する中国などと、自由な利用を主張する米国などの間で、激しいせめぎ合いが起こっている。情報を制するものが世界を制するという理解のもと、日本として国際ルールの形成にしっかり関与していきたい。

以上

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Spring Undergraduate Reading List

Reading List for 2014 Kokuryo Kenkyu-Kai


Regina E. Dugan and Kaigham J. Gabriel, "Special Forces" Innovation: How DARPA
Attacks Problems, “Harvard Business Review,” Oct2013, Vol. 91 Issue 10, p74-148.


Karen A. Jehn, Gregory B. Northcraft, and Margaret A. Neale, Why Differences Make a Difference: A Field Study of Diversity, Conflict and Performance in Workgroups, “Administrative Science Quarterly,” December 1999 44: 741-763,


Theodore Levitt, “Marketing Myopia,” Harvard Business Review, Sep/Oct75, Vol. 53 Issue 5, p26-183


Henisz and Andrew Delios, Uncertainty, Imitation, and Plant Location: Japanese Multinational Corporations, 1990‐ 1996, “Administrative Science Quarterly,” September 2001 46: 443-475,


Prahalad, C. K. and Gary Hamel, “The Core Competence of the Corporation,” Harvard Business Review, May/Jun90, Vol. 68 Issue 3, p79-91.


Rogers, Everett M., Diffusion Of Innovations: Fifth Edition, The Free Press, 2003.


Rogers, Everett M., Diffusion Of Innovations: Fifth Edition, The Free Press, 2003.

Gasshuku
Rogers, Everett M., Diffusion Of Innovations: Fifth Edition, The Free Press, 2003.


Sakurai, Mihoko, Richard T. Watson, Chon Abraham, and Jiro Kokuryo, Sustaining Life During the Early Stages of Disaster Relief with a Frugal Information System: Learning from the Great East Japan Earthquake, “IEEE Communications Magazine,”January 2014, pp 176-185.


Granovetter, Mark S., The Strength of Weak Ties, “Amercian Journal of Sociology,” Vol. 78, No. 6, May 1973, pp 1360-1380.


Hansen, Morten T., The Search-Transfer Problem: The Role of Weak Ties in Sharing
Knowledge across Organization Subunits, “Administrative Science Quarterly,” March 1999 44: 82-111,


Davenport, Thomas H., “Competing on Analytics,” Harvard Business Review, Jan2006, Vol. 84 Issue 1, p98-107


Ted Baker and Reed E. Nelson, Creating Something from Nothing: Resource Construction through Entrepreneurial Bricolage, “Administrative Science Quarterly,” September 2005 50: 329-366


Baldwin, Carliss Y. and Kim Clark, “Managing in an Age of Modularity,” Harvard Business Review, Sep/Oct97, Vol. 75 Issue 5, p84-93.


Wrap-Up

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「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」終了にあたって

 耳目を集めた薬のネット販売検討会が終わりました。

 事実上の解禁状態でネット販売が進行している中で、ルールづくりが急がれたのですが、「正しいネット販売のあり方」の議論ではなく、「ネット販売をさせるかしないか」の議論に終始してしまいました。ルールづくりがほとんど出来ずに終了してしまったことに、メンバーの一人として深い責任を感じています。

 このまま放置してはいけません。何より問題は、ルールがない状態で販売が継続することです。それは規制派はもちろんのこと、推進派も望んでいないことだろうと思います。安全なネット販売ができる環境づくりが、事業発展の礎となることを理解しているからです。

 この期に及んでは、政治判断で暫定ルールを入れていくしかないのだろうと思います。その想定のもとに指摘したいのは、検討会においても、ほぼ全てのメンバーが合意できていた重要な点がいくつかあったということです。私はそれらを実行するだけで、(ルールがないよりは)かなり安全性が高まるのだろうと思っています。例えば次です

(1) 有資格者がネット販売する場合には厚労省に届け出すること。
(2) 厚労省は届け出があった有資格のサイトを公表し、届け出なく営業している業者の特定を容易できるようにすること
(3) サイトには、販売の責任者たる薬剤師の氏名を明記すること。販売後も双方向に相談できる連絡先を用意すること。

 これらのことをやるだけで、違法に販売する事業者などを特定することが容易に特定できるようになります。正規事業者のリストが整備されれば、第三者機関による認証などが可能となり、消費者がより丁寧に説明責任を果たす優良事業者を見つけやすくなります。

 そのような、できることから、まず導入して、現在の無秩序状態を少しでも改善したいのではないでしょうか。

 焦点となっている、医薬品のリスク分類と、ネット販売を許容する範囲を関連づける件については、無理筋だと思っています。医薬品にはリスクの高いものと低いものがあって、それによって1類から3類までの分類がなされています。そして、リスクが高いものについては、使用者へのより丁寧な説明が必要だ、というところまでは、構成員のほぼ一致した見解です。しかし、リスク情報の伝達能力においてネットの方が低いという根拠ない思い込みに基づいて、リスクの高いものについてはネットはダメ、ということにしてしまうのは論理の飛躍です。
 対面を含む各種情報伝達メディアに、得意、不得意があることは事実です。しかし、ネットだから説明能力が低いと一律に断じてしまうと、話がおかしくなってしまいます。他のお客が待っているのを気にしながら、口頭で説明を受ける対面方式よりも、さまざまなサイトを検索しながら、説明をじっくり検討できるネットの方が情報伝達手段として有効と考える方がむしろ自然でしょう。ですから、リスク分類とネット販売可否を直接結び付ける手法でルール化をしようとすると、また訴訟-違憲判決-ルール欠如状態、というサイクルを繰り返すことになると思います。そんなことをしては、不毛な以上に無責任です。

 より現実的な安全ルールを急いで導入しましょう。

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一般医薬品インターネット販売検討会

「一般医薬品インターネット販売検討会」が始まりました。構成員として良い議論になるように貢献したいと思います。次は事務局に提出して、席上配布していただいた國領意見です。メディアの方々などから見たいとご要望いただいたので、ここに出します。厚生労働省に提出したPDF版もつけておきます。

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平成25年2月14日

一般医薬品インターネット販売検討会開始にあたって

國領二郎

 2009年の「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」の議論に参加させていただいた経験などから、議論の運び方について、次のご提案を申し上げます。

1. 議論を合意できるところから積み上げること。

たとえば次のような点については、合意形成がしやすいのではないでしょうか?

(ア) 一般医薬品服用には副作用リスクがあり、販売にあたって適切な管理が必要であること
(イ) 一般医薬品服用を取り巻くリスク管理にあたっては、リスクの存在及びその内容を、薬剤師から服用者(服用者に判断能力がない場合には保護者あるいは後見人)に、適切に伝達する「リスクコミュニケーション」を行うこと。
(ウ) 適切なリスクコミュニケーションを前提に、自らの判断で服薬を行う「セルフメディケーション」を行うこと
(エ) 一般医薬品のリスク情報の服薬者への伝達は(直接の伝達者が登録販売者であったり、ネットのページであったり、服薬者の代理で購入した関係者であったとしても)、薬剤師の管理と責任のもとに行われるべきであること

これらのような原則について合意が成立すれば、次にそれらの原則をどのようにして実現すれば良いか、という議論に移ることができます。逆に、基本的な事項について合意がない中で、拙速に販売の手法や範囲をめぐる議論を始めると、不毛な綱引きになったり、整合性の取れない議論になったりする可能性が大きいように思います。

2. 2009年以降の技術や社会変化を反映した検討を行うこと

 たとえば、スマートホンを利用したお薬手帳の電子化などによって、服薬(購買)履歴管理を行いうる可能性が大幅に高まっています。技術的には一般医薬品と処方薬の服薬一元管理なども可能です。これによって薬の、のみ合わせの危険警告や、大量購入者への警告なども行いやすくなり、服薬のリスクを低減させることができます。一方で、それを実現するためには、薬剤師や販売者に刑法に定められた守秘義務(プライバシー保護)を守っていただく必要があり、その運用ルールが求められます。新しい技術のもたらす安全な服薬の可能性を活かすルールづくりをめざしたいところです。

以上


「25214v2.pdf」をダウンロード

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ボストンフォーラム

ボストンで開かれた就職フォーラムに出かけた学生の報告。授業をさぼって行ったのは気にいらないのだけど、ちょっと考えさせられることも多いので、本人の許可もらって共有します。

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昨晩ボストンから戻りました。
私は13年卒の為、今回はインターン獲得と来年度の本番の予備練習を目的にボストンフォーラムに参加しました。約1万人の学生が参加するこの フォーラムで 出展していた企業は、外資系から日系まで合わせて200社ほどです。このイベントには責任者が何人も参加しており、出展している全ての企業がかな りの額をかけている事が一目瞭然でした。そのためか、ボストンフォーラムでは就職氷河期にも関わらず、国内の就職活動と比較できないほど内定率が 高いと聞きます。

私が一番驚いたことは日米バイリンガル対象のイベントに中国人と韓国人の留学生が多かったということです。実際、香港等の拠点に力を入れている大 手企業は 日本人ではなく中国人を多く採用したと聞いています。海外の学生は就活に関して語学力を始めとし、積極性とハングリー精神で日本人より優っている と痛感しまし た。

幸いにも(某外国企業)や(某日本企業)からオファーを頂き、2次面接を兼ねた社員さん達とのディナーで直接幹部の方達から刺激的なお話を伺うことができました。授業を休んでし まったことは残念ですが、非常に良い経験になり満足しています。フォーラムで対象学年より下のインターン生を募集している企業は少数ですが、後輩 達にも早めに行くべきだと勧めるつもりです。
纏まりのない文章になってしまいましたが、ご報告させて頂きました。

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IT戦略本部に意見書

IT戦略本部が「持ち回り」で開催されることになり、出席するかわりに次のような意見書を出しました。リアルには開催されず、ちょっと寂しい。
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平成23年7月11日

新たな情報通信技術戦略 工程表の改訂にあたって(意見)
國領二郎

 第55回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部会議開催にあたって、意見を申し上げます。

1. 情報連携基盤に広がりと利便性を与えるべく、制度設計に積極的にかかわっていくべきである
 現在、税と社会保障の一体改革の文脈で「番号」制度が議論され、その一貫として情報連携基盤のあり方が打ち出されている。プライバシーを守りながら情報連携を実現する基盤は税・社会保障だけでなく、自治体の住民サービスなど、行政サービス全体にかかわる重要なものである。また、民間にも接続を許し、たとえばマネーローンダリング防止の身元確認や、青少年保護のための年齢認証などに活用することによって、安全で利便性の高い情報社会を構築することも可能となる。情報連携基盤がそのような広がりを持つものとして発展するように、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部としても受け身とならずに制度設計段階で、積極的に関わりをもつべきである。
 意見を言うべき例をあげるならば、2011年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部から出された「社会保障・税番号大綱」には、セクトラルモデルを活用して、多様な組織の保有する情報を連携する可能性が示されているが、これを自治体や民間にとって、使いやすく利便性の高いものとしたい。そのために、たとえば①マイポータル運営の民間への開放、②マイポータルへアクセスする際の認証方式を政府が発行するICカードのみに限定せず、アクセスする情報の必要なセキュリティレベルによって多様なもの-民間が提供するものを含めて-を許容する、といった意見を出すべきである。この二つによって、たとえば(ア)国民がスマートフォンを使って民間(携帯電話会社など)が提供するマイポータルにアクセスして、自身の年金の払い込み状況を確認したり、(イ)被災者が地元の病院での自身への投薬履歴を呼び出して避難先の医師に見せたりする、といったことが可能となる。いずれも現在の大綱のまま法制化されると実現できなくなってしまう可能性が高く、利便性の低さから普及が進まないといった事態が想定される。
 上記を含む意見を出す際には、自治体や企業など、現場の意見を十分に聞きたいところである。制度設計的には小さいと思われる点が、システムコストや現場負荷の大幅増大をもたらすことが多いのが情報通信技術分野の特徴である。今回の番号制度では特に自治体の負荷が大きくなるものと思われ、十分な対話が必要である。

2. オープンガバメントのさらなる推進を
 福島原発事故は、情報開示のあり方を改めてクローズアップさせた。政府保有データの二次利用可能な形式での開示など、本部が推進してきた取り組みの範囲を広げ、よりシステマティックに推進すべきである。これは単に開かれた政府を実現するだけでなく、情報を国民や企業にとって利用しやすい「資源化」を行うことにつながり、活力ある情報社会への道を拓く取り組みともなる。

3. 世界潮流と主戦場に目を向けた戦略を
 いま、世界の情報通信技術は①世界をカバーするクラウドコンピュータネットワーク、②クラウド上で様々なサービスや権利処理、認証などを行うプラットフォーム、③利用者のモバイル端末の上で全てのメディアを統合しつつあるブラウザ-特にHTML5規格-などが競争力を分ける主戦場となっている。そして、情報を自社のプラットフォームに誘導して蓄積しようという「情報資源の囲い込み」ともいうべき競争が激烈となっている。残念ながら日本はそのいずれにおいても主導権を握るどころか、プレゼンスがほとんど見えない状態になっている。
 情報通信技術戦略はそのようなメガトレンドの中で、日本のシステムをどのように進化させていくか、日本の情報産業を主戦場で主導権を握れるプレーヤーとさせるために、どのように復活させていくかを示す骨太なものとして必要なら見直し、進捗管理すべきでないか。

以上

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次に向けての考え方(仮説)

仮説:機能・リスク分散が重要。東京に機能集中しすぎていて危ない(この際、道州制を入れるべき?)。危険なシステムを集中させ過ぎると何かあると大事故になりやすい。

仮説:情報の信頼性モデルの変化に注意。「一元的公式情報」の時代は過ぎ、多元的情報の相互チェックによって信頼性を確保する時代になっている。

仮説:外からの応援を受けやすいオープンシステム(ハード・ソフトだけでなく組織なども)が重要。受けにくいシステムは想定外の状況でもろい。

仮説:絶対安全は存在しない。リスクの所在を常に多くの目で確かめ、顕在化時の対応を考えておくことが安全への道。

仮説:ガバナンス改革が重要。民も官も責任と権限のはっきりさせない組織風土のままでは、対応が遅れるばかり。リーダーにしっかり権限を与えてなすべきことをなせるようにしてから、きっちり結果責任を問おう。

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«NTTの歴史的敗北